プルトニウム239 2012 9 23
書名 放射性物質の正体
著者 山田 克哉 PHPサイエンス・ワールド新書
この本から興味深いところを引用しましょう。
「原子炉級プルトニウムと兵器級プルトニウム」
プルトニウム239は放射性元素でアルファ崩壊し、
その半減期は24000年であるので、
プルトニウムの半減期など全く気にせず核燃料として使える。
ウラン235を核燃料に使った原子力発電所からは、
燃料交換のたびに使用済み核燃料が原子炉から取り出され、
それを再処理(化学処理)して、
プルトニウム239を摘出するが、
それは100%プルトニウム239でなくて、
望むプルトニウム239は65%しか含まれていない。
そして、これは「原子炉級プルトニウム」と言って、
「兵器級プルトニウム」と区別している。
原子炉級プルトニウムはプルトニウム239の含有率が65%で、
他の不純物が早期爆発を起こしたりするので、
そのまま原子爆弾の材料にしても大きな効果は得られないが、
兵器級プルトニウムはプルトニウム239の含有率が90%以上で、
これは、原子爆弾に、そのまま使える。
だから「兵器級」となる。
兵器級プルトニウムを直接「生産」できる原子炉には、
次の3種類がある。
1 高速増殖炉
2 黒鉛炉
3 重水炉
日本に高速増殖炉は二つある。
一つは「もんじゅ」と命名されたものであり、
もう一つが「常陽」である。
(中略)
日本には「原子炉級プルトニウム」が、
どんどん溜まっていっている。
プルトニウム239の半減期は24000年であるから、
「ウラン枯渇」を考慮すると、
溜まった原子炉級プルトニウムをそのまま放置しておく手はない。
また原子炉級プルトニウムをそのまま使うと、
未熟爆発などが起きて、その威力は激減するが、
一応、原子爆弾を作れないことはない。
また非常に厄介だが、
さらに化学処理すれば、高濃度のプルトニウム239を作れないこともない。
したがって、原子炉級プルトニウムであっても、
どんどん溜めていくと「日本は核兵器の準備をしているのか」などと、
IAEA(国際原子力機関)に疑いを持たれかねない。
(以上、引用)
メディアによるプルトニウムをめぐる記事は、
不思議と、わかりにくいものが多いと思います。
何回読んでも難解な文章が多いでしょう。
(わざわざ、わかりにくく書いているのかもしれません)
それに対して、この本では、
実に明解で、わかりやすく書いてあると思います。
ところで、時々、外国から、
「本当は、日本は、核兵器保有国である」と言われる理由が、
これで、よく、わかったでしょう。
空中発射型ロケット 2012 4 15
日本の固体燃料ロケットの歴史は古いと言えます。
糸川英夫博士が率いる東京大学生産技術研究所を源流とする、
宇宙科学研究所が先駆的な役割を果たしたペンシルロケットが有名でしょう。
その後、1970年には、全段固体ロケットであるL-4Sロケットで、
日本発の人工衛星「おおすみ」を打ち上げ、
1985年には、M-3SIIロケットによる世界初となる全段固体ロケット
人工惑星「さきがけ」を誕生させました。
「さきがけ」は、ハレー彗星探査を行う宇宙探査機でした。
(以上、ウィキペディアから引用)
最近は、固体燃料ロケットの話は、
あまり聞かなくなったと思います。
今は、液体燃料ロケットが主流だからです。
「固体燃料ロケットの時代は終わった」と言う人までいます。
しかしながら、日本にとっては、
完成された技術である固体燃料ロケットを活用すべきだと思います。
しかも、日本には、火薬メーカーや化学メーカーが多数存在します。
「空中発射型の固体燃料ロケット」は、どうでしょうか。
小型の人工衛星を打ち上げるには、
液体燃料ロケットでは、コストが高すぎます。
そこで、「空中発射型の固体燃料ロケット」の出番があると思います。
日本では、ボーイング787の導入で、
ジャンボジェットのB747が不要になると思います。
そこで、B747を改造して、
空中のロケット発射基地とするのです。
(この話は、エアワールド2006年6月号に出ているそうです)
日本では、株式会社IHIエアロスペースが、
日本を代表するロケット飛翔体の総合メーカーであると同時に、
世界に数社しかない固体燃料ロケット開発メーカーでもあります。
同社は、主として固体燃料ロケット(ロケットモーター)技術を応用し、
各種宇宙用ロケットの開発及び防衛用ロケットの開発と製造を行っているそうです。